山 って 峠って

①「山」について国土地理院は、つぎのように書いていす。

  山とは、地表面が高く大きく盛り上がったものと考え、眺めた感じで一つの山の範囲を定める。山には一つの頂上に斜面が集まる単純なものもあれば、 複数の峰、複数の頂上を持ち、全体の総称としての山名と、部分的な峰や山頂部の別の山名を持つものもある。( 建設省国土地理院編集・㈶日本地図センター頒布 国土地理院技術資料 C・I №202 日本の山岳標高一覧 ー1003ー より )

 ※上記国土地理院の山の定義に 「地表面が高く大きく盛り上がったもの・・・」 との記述がありますが、天保山(標高4.5m 大阪府大阪市・2.5万分の1地形図/大阪西南部)、 弁天山(標高6m 徳島県徳島市・2.5万分の1地形図/徳島)、 日和山(標高6m 宮城県仙台市・2.5万分の1地形図/塩竈) などがありますので、高さ(低さ?)の制限はないようです。

以上からすると、地形図に載っている山では 天保山 が日本で一番低い山のようです。

           (その後の推移①)

 ※東日本大震災により、日和山の標高は3mとなり、現在この山が、地形図に載っている山のなかでは「日本一低い山」になったようです。

           (その後の推移②)

※2014年(平成26年)10月18日土曜日の朝日新聞24面に『日和山』について国土地理院が以下のように述べたとの記事が載りました。
・・・・・・現在の地図に記された3㍍の数字は、実は日和山横まで伸びる「道路の高さ」だという。隣り合うように記述されているため、勘違いされているのではないか、と。

そして、当記事を書いた記者が『日和山』に登ってみると
・・・・・・登山3秒、下山3秒。直下の道路との差を1㍍として約4㍍、つまり天保山より0・5メートルほど低いことに・・・・・・・

 ※はたして、『日和山』 と 『天保山』地形図に載っている山では、どちらが日本一低い山になるのでしょうか?

➁「峠」については、つぎのように書かれています。

―広辞苑 第六版には―
(タムケ(手向)の転。通行者が道祖神に手向けをするからいう。「峠」は国字)
⓵山の坂路を登りつめた所。山の上りから下りにかかる境。「―の茶屋」「碓氷―」
➁物事の絶頂の時期。極限。極度。「寒さもここ二、三日が―だ」

―峠(串田孫一編・はじめに)には―
 ・・・・峠を越して行く気持ちというものは、山頂へ辿りつく気持ちとは、おのずから別で、目的の土地は、ともかく峠の向こうにあるのです。彼方の土地へ行くための、時には一つの障碍物として、超さねばならない峠でもあるのです。もちろん、そこの気分が大変いいので、わざわざ峠を越すこともありましょう。また、峠を越すことを、私たちは旅の目的として歩いて行くこともあるわけですが、もうそこから道は、ずっと下りになるということで、ほっと息をつく気分。そこに私は、昔の旅人が「手向」をした心を感じます。
 人生には、峠はないと思います。また、人生にこういう意味での峠を、考えるのは間違っていると思います。しかし、人生の中のさまざまの仕事には、峠がある場合も多く、はじめは少し暗中模索のようにしてはじめたことが、ある時期に、突然見通しがついて、気分が急に明るくなるような時に、私たちは峠へ来たという感じを経験します。その時の、何かしら感謝の気分、それがまた、昔の旅人の「手向」に通じていると思うのです。

⓷「山」と「峠」について 先人 は、こんなふうに書いていす。

 ふるさとの 山に向かひて 言うことなし ふるさとの山は ありがたきかな  石川啄木

日本人はたいていふるさとの山を持っている そしてその山を眺めながら育ち成人してふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている   深田久弥

 (原)山高故不貴        以有樹為貴   実語教
   (訓)山高キガ故ニ貴カラズ 樹アルヲ以ッテ貴シト為ス
   
 山の中で、私は何を考えているのかと訊ねる人があるんです。それは何故山へ登るのかと質問された時と同様に、あるいはその時以上にすらりとはお答えできません。   串田孫一

 三山を もちてゆきたし 死出のたび   高頭式(仁兵衛)

 山では何をたべてもうまい。碧空と微風との甘味さえあれば。   大島亮吉

 山へ行き 何をしてくる 山へ行き みしみし歩き 水飲んでくる   高村光太郎

(原)磐疊    恐山常    知管毛   吾者戀香    同等不有爾   万葉集(1331)    
   (訓) いはだたみ かしこきやまと  しりつつも   われはこふるか なみならなくに
   (訳) 岩山の    けはしい山と   知りながら  なほ行きたいよ 容易でないが

 国の宝は山也,然れ共伐り尽くす時は用に立たず、
   尽さざる以前に備えを立つべし、山の衰えは則ち国の 衰えなり       渋江正光

 真の文明ハ山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さゞるべし   田中正造

 兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 ・・・ 山は青きふるさと水は清きふるさと 高野辰之

 幾山河 こえさり行かば 寂しさの はてなむ國ぞ けふも旅ゆく    若山牧水

 ふるさとはあの山なみの雪のかがやく   種田山頭火

 雲雀より空にやすらふ峠かな   松尾芭蕉

 峠のみちは 風のみち 売られる仔馬が着飾って
     ならんでとおった風のみち
   峠のみちは 風のみち 遠く便りをはこぶみち
     仔馬も便りも往ったなり 木魂も還らぬ 風のみち    鷹野照代

 峠は待っている 誰か、この孤独な午後を 訪ねてくれるひとはいないかと。
  峠は聴いている。 霜と枯草を踏んでちかづいてくる、 あの かすかな足音は、
 もしやそらみみかと。 
  きょうは寒くて、さびしくて。 人間の声がききたい日だ 。
 人間のにおいが恋しい日だ。
 峠は見ている。 どこかへ帰っていってしまうひとの後ろ姿が
 ふりむきもせず遠ざかるのを。 鳥見迅彦

 駒止峠をこえて 坂をくだると
  私は白い時間とすれちがった
   山彦が 笑っている山に突き当たり 伊南村を包んでいた   海老原由紀夫