32 峠越えに十四時間・・・・モトヅク峠 [檜枝岐村]

管理番号 峠098 大津岐峠・モトヅク峠・モトツク峠

民俗学研究所編 今野圓輔著 全国民俗誌叢書 檜枝岐民俗誌 福島県南会津郡檜枝岐村 發行所 刀江書院 昭和26年7月5日発行 148ページでは以下のように紹介しています。

 檜枝岐の本村から約四十八キロメートル、空身で歩いて五時間、米十貫目ほど背負って十時間から十四時間もかゝると大津岐につく。 モトツク峠 だけで十二キロメートルもある。
 新聞を購読してゐる家は一軒もない。郵便は月に四回配達になるきまりになっている。大津岐川の両側に柳沢平と、日暮平の二部落があり、各々五軒の人家があって距離は五町ほど距っている。
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 柳沢平の人達はみな檜枝岐から行った人々で、次男、三男が分家の形で出た。いづれも開墾が目的で開墾が始まってから既に廿三年になる。
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 大津岐では生活しにくいために檜枝岐へ戻った家は今まで四軒あるが、運搬があまりつらいことゝ配給制になってから種々の不都合が多いので、檜枝岐本村へ帰りたがってゐる家が二軒も三軒もある。

※上記「モトツク峠」の呼称について、檜枝岐村教育委員会の平野勝さんにお願いし、昭和3年生まれの方に聞いていただいたところ、「昔はモトヅクと云っていた。本ではモトツクになっているが、モトヅクです」との連絡を頂きました。平野さんには、大変おせわになりました。ありがとうございました。

※当峠は、地形図には「大津岐峠」と表記されていますが、峠の西北約8㌖には「大津岐山(管理番号0836)」があります。他の著書のなかには、当峠一帯を大津岐山との誤表記もみうけられます。当峠は、本来の地元呼称である「モトヅク峠」と表記するのが適当と思われますがいかがでしょうか?

※なお、1960(昭35)年には 奥只見ダムが竣工、1961(昭36)年には 大津岐分校が閉校となり、集落はなくなりました。

(2012年9月)